文フリガイド編集委員会通信

文学フリマガイドブック(通称:文フリガイド)の編集状況についてお知らせするブログです

アンケートの回答結果を発表します

 皆さん、こんにちは。秋山です。
 ご協力いただきました「文学フリマガイドブック 2016年春(通算第9号)に向けてのアンケート」の集計結果を発表します。当初予定では2016年1月初旬に発表予定でしたが、用意ができたので前倒しします。
 回答受付は2015年11月27日(木)から12月20日(日)までの3週間強。最終的に19名の方にご回答いただきました。事前に告知した通り、統計情報として、つまり個人を特定しない形で結果を発表します。
 尚、前回アンケートの際は回答者が51名だったので円グラフを作ったりしましたが、今回は半分以下と少ないので、シンプルに表でまとめるに留めました。
 長くなるので折りたたみます。

【01】『文学フリマガイドブック 2015年秋(通算第8号)』は読んでいただけましたでしょうか。 *
○買って読んだ
○買ってないが読んだ
○ゲラを読んだ
○献本を読んだ
○買ったが読んでない
○買ってないし読んでない

内容 回答者数
献本を読んだ 10
買って読んだ 4
買ってないし読んでない 3
ゲラを読んだ 1
買ってないが読んだ 1

 19名中16名の方が、何らかの形で「読んだ」と回答くださいました。従って既読の方を対象とした【02】から【12】までの質問には16名の方が、未読の方を対象とした【13】の質問には3名の方が回答してくださっています。
 回答者の内訳について、献本を読まれた方が、意見をくださったことは嬉しく感じますが、一読者である「買って読んだ」という方が4名に留まったことは残念に感じます。尚、編集委員会から献本を渡したのは、編集者、推薦者、売り子手伝いの約30名の方の他、事務局とインタビューに協力いただいた青砥さんとイラストを描いてくださった宵町さんとなります。

【02】良かったページを教えてください。
(あてはまるものすべてを選択してください)
□文学フリマの歩き方
□作品マップ
□作品紹介50作
□次号推薦作募集のお知らせ
□青砥十インタビュー
□委員会メンバー紹介
□広告

内容 回答者数
作品紹介50作 13
文学フリマの歩き方 12
青砥十インタビュー 8
作品マップ 6
次号推薦作募集のお知らせ 4
委員会メンバー紹介 4
広告 4

 第8号におけるメインのコンテンツとした考えていた「文学フリマの歩き方」、「作品紹介50作」、「青砥十インタビュー」のすべてが、半数以上の方に「良かった」と回答いただけたことは嬉しい限りです。

【03】不要だと感じたページがあれば教えてください。
(あてはまるものすべてを選択してください)
□文学フリマの歩き方
□作品マップ
□作品紹介50作
□次号推薦作募集のお知らせ
□青砥十インタビュー
□委員会メンバー紹介
□広告

内容 回答者数
作品マップ 3
文学フリマの歩き方 2
青砥十インタビュー 2
作品紹介50作 1
委員会メンバー紹介 1
次号推薦作募集のお知らせ 0
広告 0

 全体的に非常に少なかったという印象です。
 売上を重視する考え方が忌避感を抱かれているのと、秋山自身の個人的な付き合いから覚える内輪感に嫌悪感を抱かれている様子です。

【04】掲載されている作品数は多いでしょうか? 少ないでしょうか?
(参考情報:7号は計22作、8号は計50作)
○多すぎる(現状の半分以下で構わない)
○多い
○ちょうどよい
○少ない
○少なすぎる(現状の2倍以上が望ましい)

内容 回答者数
ちょうどよい 8
多い 5
少ない 3
多すぎる(現状の半分以下で構わない) 0
少なすぎる(現状の2倍以上が望ましい) 0

 前回アンケートでは3名が「少なすぎる」、18名が「少ない」、8名が「ちょうどよい」、1名が「多過ぎる」でした。第8号を発行するにあたり、掲載数を増やすは実現したいことのひとつだったので、この回答結果を見ると、まずまずの成果を上げられたように思います。

【05】推薦されているジャンルの傾向について教えてください。
○偏っていると思う
○普通だと思う
○偏ってはいないと思う

内容 回答者数
普通だと思う 8
偏っていると思う 6
偏ってはいないと思う 2

 前回アンケートでは15名が「偏っている」、14名が「普通」、2名が「偏ってはいない」でしたので、やや改善されたものの、まだ30%の方が偏りを感じられていることが分かります。
 この質問に関しては、正直なところ質問の仕方を間違えたと感じています。第8号では小説が31作、評論が4作、詩歌が5作、ノンフィクションが1作、その他が9作という割合でしたが、この大ジャンルの割合それ自体が偏っているのか、それともたとえば小説の中で小ジャンルが偏っているのか読み取れないからです。次回アンケートの際は、注意するようにします。尚、大ジャンルの割合に関しては後述します。

【06】判型について教えてください。
(参考情報:7号以前は新書判、8号はA5判)
○今のサイズは小さい(文学フリマカタログと同じサイズがよい)
○今のサイズはちょうどよい
○今のサイズは大きい(7号以前の新書判がよかった)
○今のサイズは大きすぎる(文庫本くらいのサイズがよい)
○どんなサイズでも構わない

内容 回答者数
今のサイズはちょうどよい 9
どんなサイズでも構わない 5
今のサイズは大きい(7号以前の新書判がよかった) 2
今のサイズは小さい(文学フリマカタログと同じサイズがよい) 0
今のサイズは大きすぎる(文庫本くらいのサイズがよい) 0

 第7号以前は新書判だったので、多くの方に嫌がられるのではと予感していたのですが、多くの方に好意的に受け取っていただき、胸をなでおろしました。
 ほんとうは作品数を増やしたり、各作品に割く文字数を増やすことを考えると、もっと判型を大きくしたいのですが、もうしばらくは現状のA5判を継続しようと考えています。

【07】価格について教えてください。
(参考情報:今までの文フリガイドは200円です)
○高すぎる(無料とすべき)
○高い(100円が妥当)
○ちょうど良い
○安い(300円以上でもよい)

内容 回答者数
ちょうど良い 11
安い(300円以上でもよい) 4
高い(100円が妥当) 1
高すぎる(無料とすべき) 0

 こちらも、一安心しました。
 200円という価格は、いろいろな悩みをはらんではいるのですが、今後も維持していこうと今は考えています。

【08】発売時期について教えてください。
(参考情報:11月23日開催の文学フリマに対し、8号は11月9日発行)
○文学フリマの当日販売で構わない
○ちょうどよい
○もっと早くに発売してほしい

内容 回答者数
ちょうどよい 11
もっと早くに発売してほしい 5
文学フリマの当日販売で構わない 0

 第8号から初めて取り入れた事前販売ですが、概ね好評価だったのではないかと感じました。30%の方が「もっと早く」とのことなので、次回はもう少し頑張ろうと思います。

【09】文学フリマ後の文フリガイドについて教えてください。
○文学フリマ当日を過ぎたら文フリガイドに興味はない
○文学フリマ後でも、内容が気になるので購入したいと思う

内容 回答者数
文学フリマ後でも、内容が気になるので購入したいと思う 12
文学フリマ当日を過ぎたら文フリガイドに興味はない 4

 前回アンケートでは17名の方が「後でも購入したい」、12名の方が「興味はない」だったので、大きく改善されたかと思います。
 第7号以前の文フリガイドは「その日、文学フリマに来場された方のためのもの」という編集方針がありました。それに対して第8号には、色々な役割を持たせようと腐心しました。具体的には、文学フリマ以外の場所で事前販売することで、文学フリマに人を呼びこむツールとしての役割や、多くの作品を掲載することで、この時期にどういう作品があったのかを後からでも追跡できるアーカイブとしての役割などです。
 その意図を汲んでいただけたかどうかは分かりませんが、75%の方に「後でも購入したい」と回答いただけたことは励みになります。

【10】装幀やデザインについて教えてください。
○装幀やデザインは優れている、今後も続けてほしい
○装幀やデザインを優れているとは思うが、必須ではない
○装幀やデザインを優れているとは思わないが、必須ではない
○装幀やデザインを優れているとは思わない、もっと良くすべき
○装幀やデザインについて気にしたことはない

内容 回答者数
装幀やデザインは優れている、今後も続けてほしい 6
装幀やデザインを優れているとは思わない、もっと良くすべき 5
装幀やデザインを優れているとは思わないが、必須ではない 3
装幀やデザインを優れているとは思うが、必須ではない 2

 これは正直なところ予想外の結果でした。
 と言うのも、秋山がワードで手掛けた装幀は、第7号以前と比べると明らかに劣っており、もっと多くの方が「優れているとは思わない、もっと良くすべき」と回答するのではないかと考えていたからです。
 これは、別途まとめる必要があるかと思いますが、第8号のデザインを、第9号においても踏襲する予定です。理由は装幀やデザインよりも、しっかりスケジュールを守って、確実に発行することを優先したいからです。そして、より長く続けるために、負荷の高い、手作業で微調整しなければならないページをなるべく作らずに、遊びを残しておきたいからです。
 尚、秋山自身は、今のデザインを、そう悪いものであるとは思っていません。直接、指摘も受けましたが文フリガイドの紙面は、『このミステリーがすごい!』や『本格ミステリベスト10』を参考にしています。一行あたりの文字数や、一ページあたりの行数、書影を見開き左手にまとめる構図は、実際にプロが商業誌で用いているものです。組版のプロでない秋山が実現する紙面としては、必要十分なレベルではないかと捉えています。

【11】作品紹介における1作あたりの分量について教えてください。
○分量が足りなすぎる(文字量を2倍以上にすべき)
○分量は足りない
○ちょうどよい
○分量は多い
○分量が多過ぎる(文字量を半分以下にすべき)

内容 回答者数
ちょうどよい 11
分量が足りなすぎる(文字量を2倍以上にすべき) 3
分量は足りない 2
分量は多い 0
分量が多過ぎる(文字量を半分以下にすべき) 0

 これは悩ましい結果です。
 実は組んでいる最中、どうしてもページに収まらないことがあり、編集者のコメントは文字数を削るなどして、けっこう調整を試みたのです。読みやすい紙面のためにも、もう少し余白が欲しいなと考えており、第9号では文字数の微減を考えていました。
 ですが、ご覧の通りアンケートの結果を踏まえるならば、分量は増やすか、せめて現状を維持したいところです。分量に関しては、課題として検討を重ねさせてください。

【12】総括して7号以前と比較してどうだったか教えてください。
○改良している
○特に変化はない
○悪化している
○その他

内容 回答者数
改良している 11
特に変化はない 3
その他 1
悪化している 0

 とても好意的に受け取ってくださった様子で何よりです。ありがとうございます。尚「その他」と回答された方は、第8号が初めて読む文フリガイドであったとのことです。

【13】どうして読まなかったか、教えていただけますでしょうか。
○興味がなかった
○興味はあったが高かった
○どこで購入できるか分からなかった

内容 回答者数
興味がなかった 2
興味はあったが高かった 1
どこで購入できるか分からなかった 0

 この質問は、最初の質問で「読んでない」と回答された3名の方によるものです。どうして興味を抱いていけなかったかを自由欄に詳述いただき恐縮です。

【14】今後の文フリガイドに何を期待するか教えてください。 *
(あてはまるものすべてを選択してください)
□文学フリマへの集客力の向上
□一般来場者向けの案内や紹介
□出店者向け販売促進の支援
□Twitter等で議論できるような話題性
□丁寧で真摯な対応
□継続的な発行
□事務局との密接な連携
□事務局との適度な距離感
□掲載されたサークルへの献本
□特に期待していることはない

内容 回答者数
一般来場者向けの案内や紹介 14
出店者向け販売促進の支援 12
継続的な発行 11
丁寧で真摯な対応 10
文学フリマへの集客力の向上 9
掲載されたサークルへの献本 6
事務局との適度な距離感 5
事務局との密接な連携 2
Twitter等で議論できるような話題性 1
特に期待していることはない 0

 前回アンケートでは37名が「一般来場者向けの案内や紹介」、26名が「出店者向け販売促進の支援」、21名が「継続的な発行」、20名が「丁寧で真摯な対応」、18名が「文学フリマへの集客力の向上」、17名が「事務局との適度な距離感」、9名が「事務局との密接な連携」、8名が「Twitter等で議論できるような話題性」だったので、順位という観点では、完全に同じと言えます。
 今回、初の質問として「掲載されたサークルへの献本」を加えました。背景として、実際に掲載されたサークルの方から「載せられたのに献本は貰えないのか?」と問い合わせを受けたからです。第7号以前も、掲載されたサークルへの献本は行っていませんでしたし、今後もその予定はなかったのですが、秋山の考え方がどうなのか確認したい気持ちで新たに質問に加えました。結果、30%の方がチェックを入れていらして、やや驚いています。
 別途、改めて書きたいと考えていますが、第8号の収支は今のところ赤字です。仮に掲載されたサークルへ献本を行った場合、15,000~20,000円の支出が発生します。お金の話はさておき、献本については慎重に検討を重ねさせてください。

その他、ご意見ご要望ご指摘、また途中の設問に対する補足がありましたら、何なりとお願いします。

 最後は自由記入欄です。10名の方に、何らかのコメントをいただきました。100文字以下の短いメッセージは2名だけで、残りの8名の方からは、まとまったご意見をいただきました。
 以下、2名以上の方からいただいた意見を紹介させていただきます。尚、文章の形は紹介しやすいように手を加えております。
「事前販売が良かった」(3名)
「熱意、丁寧さが感じられた」(3名)
「表紙のイラストが良い」(2名)
「編集の負荷が高そうなので作品数を減らしみては」(2名)
「ジャンルにバランスがあり、また公正である」(2名)
「小説、特に文学が多過ぎて偏っている」(2名)
「売上重視な考え方が鼻につく」(2名)
「内輪感が鼻につく」(2名)
「組版に難がある、読みにくい」(2名)
 以上です。
 抽象化していますが、実際には前述の通り、100文字以上、丁寧にコメントをいただきました。人数を併記しましたので、回答者によっては「自分と同じことを考えているひとが、他にもいる」ことが分かっていただけるかと思います。

 後述すると書いた、売上を重視する考え方と大ジャンルの割合について。
 まず、売上重視に関してですが、第8号では2つのコンテンツが、この考え方に根付いています。ひとつは「文学フリマの歩き方」における「買ってください」というメッセージ。本を作ることにも、文学フリマに出店することにも費用が発生します。どんなに良い本を作っても、売れなければ赤字で終わることになります。そして、それが続けば文学フリマに出店し続けることも難しくなります。すべてのひとが、お金と時間に余裕があって、趣味や余暇に充分なお金を使えるとは限らないからです。すべての出店者は、せめてトントンで終わって、文学フリマというイベントを憂いなく楽しんで欲しい、そう考えています。
 もうひとつのコンテンツは「青砥十インタビュー」における「売り方」というメッセージです。こちらに関しては、どちらかと言うと「売りたいけれど、売り方が分からない」という方をターゲティングしています。すべての読者にとって関心のあるテーマだとは思いませんが、全体の7%に相当する4ページしかないので、妥当ではと考えています。
 このようにまとめると売上至上主義のように読み取れるかもしれませんが、それはあくまで尺度のひとつに過ぎません。メインコンテンツである「作品紹介50作」については、基本的には中身で判断した編集を志向しています。発行部数は少なくとも、純粋に面白い作品に関しては、より巻頭に近づけて、熱意をこめてコメントしているところから読み取っていただけるかと思います。

 次に大ジャンルの割合について。
 第8号では小説26作、評論6作、ノンフィクション3作、詩歌5作を募集しました。これは、第二十回文学フリマに参加したサークルの区分を按分したものです。具体的には、小説が395サークル、評論が93サークル、ノンフィクションが48サークル、詩歌が75サークルでした。この割合を意識して、募集する作品の枠組を定めました。
 第9号においても第二十一回文学フリマに参加したサークル数を参考にしています。
 もう少し公平性において優位性のある割合があるかもしれませんが、より多くの方の納得を考えると、参加サークル数の割合を元に、掲載する作品数の割合も決めるのが、良いのではないかと考えています。とは言え、もっと良い指針があれば、それに従っていきますので、そういった意味では暫定処置に近いかもしれません。
 大ジャンルの中の、小ジャンルに関しては、まだ、あまり検討できておりません。ただ、現状では、推薦された作品の中から、なるべくバランスを取るよう心がけています。

 文フリガイドは編集委員会が発行している本ではありますが、その中身に相当する推薦作は、推薦者の手に委ねられています。
 かつての文学フリマは規模が小さく、ゆっくりと会場を歩き回り、中身を精査して、自分好みの本を見つけることができました。しかし、規模が大きくなるにつれ、時間をかけて全サークルを見て回ることが難しくなってきました。より多くの推薦者による、一作でも多くの推薦作を受け入れることで、文フリガイドは、さらに公平性を増して、偏りのない、バランスの取れた、確固たる、説得力のあるガイドブックになると思います。

 是非、引き続きのご愛顧、応援、そして推薦をいただければ幸いです。

 どうぞ、よろしくお願い致します。

(c) bunfreeug all right reserved. since 2012/5/6